「おはよう」
翌朝もいつもの道で愛瑠萌と一緒になった。

「とうとう、最後の大会だね」
「ああ」

あと2週間もすれば、3歳から体操を始めて週5で練習してきた俺達にとって、最後の高校県総体。
種目別での入賞が精一杯の俺には、インターハイの出場なんて夢のまた夢。
だから、この大会が俺の最後の大会になる予定だ。

「メルモは体操続けるんだろう?」
「まあね」
「頑張れよ」
「うん。ありがとう」

俺たちの住む県の体操レベルは低い。
県内トップの愛瑠萌でさえ、全国大会では100位を切ることはない。
それなのに、関東の体育大学から推薦がきているらしい。
キャプテンとしての人望と、真面目にコツコツ練習する態度がみんなに愛されている証拠だ。