それから10年。

色々あった。
大学生活の中で彼女も出来たが、長くは続かなかった。
俺も羽を伸ばしすぎたりして、単位が足りなくなって留年もした。

長い夏休みの帰省では、愛瑠萌と一緒にクラブの子供達の指導をしたりもしてそれはそれで楽しかった。

ふと、「メルモと付き合おうか?」なんて考えたこともあったが、兄弟のようにお互いを知りすぎていて・・・出来なかった。



そんな俺たちも28歳。

愛瑠萌は職場の同僚と結婚し、小さな店を持った。
手作りのケーキが評判で、地元では人気らしい。
俺は実家に帰り、父さんと寺の仕事をしながら小学校の教師をしている。

そして、今日俺は結婚する。
隣りに立つのは・・・真奈。

1年半前にばあちゃんの勧めで再会した俺は、真奈と人生を歩むと決めた。
理由はない。ただ好きになったから。

バージンロードを歩く真奈。
坊主のくせに、タキシード姿の俺。

病弱な体で頑張って、真奈は保育士となった。
将来はばあちゃんの保育園を継ぐ気らしい。

みんなの笑顔に送られて、真奈が近づいてくる。

指輪の交換。誓いの言葉。
ベールを上げて、口づけをかわす。

俺達は新しい人生を歩き始めた。


END