私は震える手のまま、封筒を開けてゆっくりと手紙を読んだ。

   広瀬 優奈へ

 久しぶり!って言っていいのかな?この手紙を読んでいるのは何日になってるか僕は分からないけど。

 僕が今、いないかと言うと僕はね、“死んだんだよ"。病気だったんだ。

 治らない病気だった。僕は昔から病弱だったんだ。中学生になって病院に行ったんだ。そしてから、先生から「2年」って言われたんだよ。

僕はあぁ、もう無理なんだなってずーーっと考えてたんだ。

 ある日、君がカツアゲに遭っている場面に遭遇した。あの時、僕は怖かった。本当は助ける予定はなかったんだよ。

 でも、体が駄目だ!って言ってきた気がするんだ。だから、君を助けた。

 君との思い出は沢山あった。どれもこれも楽しかった。ずーーっとずーーっと一緒にいたかった。君と居る時だけ、僕は病気の事を忘れる事が出来た。

 でも、君が僕に告白してきた時、僕は「いいよ」って言ってあげたかった。でもね?僕は病気だった、余命がある病気、付き合っても君を傷つくと思った。だから、振った。あの日、僕はずーーっと泣いたんだ。

 これから、先は読むのに覚悟しろよな?

 っと書いてあった。私は1回大きな深呼吸をした。そして、この先を読んだ。

 「さようなら、僕の最愛の人!愛してくれて本当にありがとう!大好きだよ!」

 その文は自分の口から言ったわけではなく、耳元でそっと囁かれた。

 その声は何度も何度も聞いた事がある声。

 私は振り返っだが、誰もいなかった。

「ずるいよ...君だけ...君だけ!私に会えに来たなんて、私にも見せてよ!あなたの姿を...馬鹿じゃないの⁉︎...本当、馬鹿」

 罵倒しているはずなのにポタポタと涙が出てきた。

「あ...れ?なんで...涙が...出てくるの...?」
 涙は止まる事を知らないんじゃないかと思うぐらい流れている。

「ッーーあ、ぁあ、あぁぁーー!」

 私は手紙を抱き抱えながら泣いた。 

 ーーごめんね?居時夢君は優しいから私にこんな手紙を書いたんだよね?私を心配してさ...もう、大丈夫だよ?本当に大丈夫だからさ?ありがとう、私の好きな居時夢君。私の最愛の人、大好きだよ...。