私ーー広瀬 優奈(ひろせ ゆうな)は好きな人がいる。その人は名前は吉田 涼馬(よしだ りょうま)だ。涼馬君はとても優しい。

 周りの人はそんことは知らないはずだ。私だけが知っている、彼の"素“だ。
私はそこに惚れてしまったのだ。

 そして今、私は桜の木の下で告白をするのだ。

 私は涼馬君の瞳を見つめながら言った私の思いを。

「私と...付き合ってください!」

 最初は驚いた様子だったが、涼馬君は私にしか見せない顔で言った。

「ありがとう...でも、お前とは...いや、僕は誰とも付き合えないんだ...」

 私はその言葉を聞いて、目尻に涙が出てきそうだったが、出さないようにした。

「なんでか理由はあるの?」

「理由は...ある。でも、言えないんだ...ごめん、本当にごめんな...」

 そう言って涼馬君は去って行った。

「う、あぁ…あぁぁー」

 言葉にならない声が出て、我慢していた涙は溢れるように出てきた。

 その日は1日中泣いた。ただひたすら泣きじゃくった。