***
両親と花梨の突撃があった後、玲夜がつけていたらしい複数の護衛が慌てたように家に駆け込んできた。
柚子の無事な姿を見てほっとしたような顔をした後、どこかへ電話を掛けたりとバタバタ走り回っているのを、柚子は見ているしかなかった。
子鬼は何やらぷんぷん怒って護衛の人達に文句を付けていたが、全く何を言っているのか分からないので護衛達も困惑顔。
しかし、怒っているのは伝わったようで、子鬼に対して平身低頭で謝っていた。
大の大人が小さな子鬼に揃って怒られている姿は笑いを誘った。
しばらくすると護衛の人が呼んだのか、玄関の戸の修理業者がやって来て、玄関を修理して帰って行ったのを見てやっと一息吐けた。
途中、護衛の人から電話を渡された祖父が、電話の相手らしい高道と何やら話していたようだが、柚子は何の話だったかは教えてもらえなかった。
翌日、あからさまに護衛の人数が増えていて柚子は驚いた。
柚子や祖父母は玲夜の付けた護衛だと分かっているからいいが、見慣れぬ複数の人達が家の様子を窺っていてたら不審すぎる。
この辺りはご近所付き合いも良いので、知らぬ人はすぐ分かるのだ。
これはちょっと問題だと、祖母が護衛の半分ほど家の中に招いた。
最初は断っていた護衛の人達も、近くにいた方がより守りやすいわよという祖母の強い押しに負けて、普通に居間で団欒を楽しむことに。
祖母が聞き上手なのか、最初はちょっとした世間話だったのが、どうしてそうなったのかいつしか護衛の人達の身の上話や仕事の愚痴を聞くことに。
玲夜様が超厳しいんですよと涙ながらに訴える護衛に何を言ったら良いか困った。
そんなこんなで時間は過ぎていく。
すると、高道から護衛の人に連絡があり、屋敷に帰ってくるようにと言われた。
しかし、また両親や花梨が押しかけてくるのではないか……。
そこに祖父母を置いていくことに躊躇いがあったが、祖母に愚痴を聞いてもらってやけに仲良くなった護衛の人達がいてくれるというので、柚子は安心して帰ることにした。
「じゃあ、また来るから」
「ええ、いってらっしゃい」
「鬼龍院さんと仲良くな」
「……うん」
両親と花梨の突撃があったことで、桜子が落としていった爆弾のことをすっかり忘れていた。
それどころではなかったとも言うが、透子に相談しようと思っていたのにできぬまま帰ることになってしまった。
護衛の人の話では、玲夜も帰ってくるらしい。
きっと側には高道がいるのだろう。
どんな顔をして会えば良いのか。
ちゃんと普段通りにできるか柚子は心配だった。
あからさまに態度がおかしかったら玲夜は気付くだろう。
この際二人は付き合ってるのかと正直に聞いてみようか。
けれど、もしイエスという言葉が返ってきたら……。
「う~」
柚子は頭を抱えた。
そんな柚子をミラー越しに見た運転手は「頭でも痛いのですか?」と心配そうに聞いてきた。
「いえ、何でもないです!」
まさか運転手に相談するわけにもいくまい。
少し前まで玲夜に会いたいと思っていたのに、今は玲夜に会うのが少し怖いと柚子は思った。
まだ玲夜は自分にあの優しい目を向けてくれるだろうかと。
そうこう悩んでいる内に柚子を乗せた車は屋敷に着いてしまった。
車が止まって外を見ると、玲夜と高道が。
そして、二人が何かを話しをしていると、高道が玲夜の前に立ち身をかがめた。
ゆっくりと二人の顔が重なる。
それを見た柚子は愕然とした。
今キスをしていると。
やはり桜子が言っているのは本当だったのだと。
頭が真っ白になってしまった柚子は、考えるより先に体が動いた。
車を飛び出し、一目散に玲夜の下に駆け出し玲夜のなを叫んだ。
「玲夜!」
両親と花梨の突撃があった後、玲夜がつけていたらしい複数の護衛が慌てたように家に駆け込んできた。
柚子の無事な姿を見てほっとしたような顔をした後、どこかへ電話を掛けたりとバタバタ走り回っているのを、柚子は見ているしかなかった。
子鬼は何やらぷんぷん怒って護衛の人達に文句を付けていたが、全く何を言っているのか分からないので護衛達も困惑顔。
しかし、怒っているのは伝わったようで、子鬼に対して平身低頭で謝っていた。
大の大人が小さな子鬼に揃って怒られている姿は笑いを誘った。
しばらくすると護衛の人が呼んだのか、玄関の戸の修理業者がやって来て、玄関を修理して帰って行ったのを見てやっと一息吐けた。
途中、護衛の人から電話を渡された祖父が、電話の相手らしい高道と何やら話していたようだが、柚子は何の話だったかは教えてもらえなかった。
翌日、あからさまに護衛の人数が増えていて柚子は驚いた。
柚子や祖父母は玲夜の付けた護衛だと分かっているからいいが、見慣れぬ複数の人達が家の様子を窺っていてたら不審すぎる。
この辺りはご近所付き合いも良いので、知らぬ人はすぐ分かるのだ。
これはちょっと問題だと、祖母が護衛の半分ほど家の中に招いた。
最初は断っていた護衛の人達も、近くにいた方がより守りやすいわよという祖母の強い押しに負けて、普通に居間で団欒を楽しむことに。
祖母が聞き上手なのか、最初はちょっとした世間話だったのが、どうしてそうなったのかいつしか護衛の人達の身の上話や仕事の愚痴を聞くことに。
玲夜様が超厳しいんですよと涙ながらに訴える護衛に何を言ったら良いか困った。
そんなこんなで時間は過ぎていく。
すると、高道から護衛の人に連絡があり、屋敷に帰ってくるようにと言われた。
しかし、また両親や花梨が押しかけてくるのではないか……。
そこに祖父母を置いていくことに躊躇いがあったが、祖母に愚痴を聞いてもらってやけに仲良くなった護衛の人達がいてくれるというので、柚子は安心して帰ることにした。
「じゃあ、また来るから」
「ええ、いってらっしゃい」
「鬼龍院さんと仲良くな」
「……うん」
両親と花梨の突撃があったことで、桜子が落としていった爆弾のことをすっかり忘れていた。
それどころではなかったとも言うが、透子に相談しようと思っていたのにできぬまま帰ることになってしまった。
護衛の人の話では、玲夜も帰ってくるらしい。
きっと側には高道がいるのだろう。
どんな顔をして会えば良いのか。
ちゃんと普段通りにできるか柚子は心配だった。
あからさまに態度がおかしかったら玲夜は気付くだろう。
この際二人は付き合ってるのかと正直に聞いてみようか。
けれど、もしイエスという言葉が返ってきたら……。
「う~」
柚子は頭を抱えた。
そんな柚子をミラー越しに見た運転手は「頭でも痛いのですか?」と心配そうに聞いてきた。
「いえ、何でもないです!」
まさか運転手に相談するわけにもいくまい。
少し前まで玲夜に会いたいと思っていたのに、今は玲夜に会うのが少し怖いと柚子は思った。
まだ玲夜は自分にあの優しい目を向けてくれるだろうかと。
そうこう悩んでいる内に柚子を乗せた車は屋敷に着いてしまった。
車が止まって外を見ると、玲夜と高道が。
そして、二人が何かを話しをしていると、高道が玲夜の前に立ち身をかがめた。
ゆっくりと二人の顔が重なる。
それを見た柚子は愕然とした。
今キスをしていると。
やはり桜子が言っているのは本当だったのだと。
頭が真っ白になってしまった柚子は、考えるより先に体が動いた。
車を飛び出し、一目散に玲夜の下に駆け出し玲夜のなを叫んだ。
「玲夜!」