自分で勧めたくせに、私が三万円のを選ぼうとしたら全力で止めてくる。
そんな気の使われ方、嬉しくないぞ。

「それにそれは立てかけ収納ができないから、棚の隙間とかにしまっておけないし。
データ管理したいなら、こっちにしろ」

なんで安い方を勧めたいのかなー?

「でも」

「あ、すみませーん、これください!」

勝手に店員を呼び、滝島さんは在庫確認をはじめてしまった。

「……売り上げ上がって滝島さんの給料が上がるんじゃなかったんですか。
これくらいじゃダメですよ」

「ばーか。
それだと二十三万の体組成計買わなきゃダメだろ」

「いたっ」

デコピンされて痛む額を押さえる。
ばーか、って滝島さんがばーかですよ。
わかっていますよ、それくらい。
どうしてそんなに、ただの中の人仲間ってだけで私にかまってくれるんですか。
この関係はそれだけですか。
気になる。
けれど聞いてしまったらなにかが壊れてしまう気がして、聞けない……。