私は、ローテーブルにグレープフルーツの入ったガラスの器を二つ置き、上村の向かい側に腰を下ろした。上村は手を出さずに、じっとグレープフルーツを見つめている。
「食べないの?」
「……いや、いただきます」
私が訊くと、上村はようやく器のに手を伸ばした。
どうして上村は、自分のことは何も言ってくれないのだろう。プライベートを明かしたくないなら、せめて仕事のことくらい話してくれてもいいのに。やっぱり私では、聞き役にもなれないということなのだろうか。
上村が何も言ってくれないことに寂しさを覚えながら、私は上村がグレープフルーツを口に運ぶのをぼんやりと眺めていた。
「食べないの?」
「……いや、いただきます」
私が訊くと、上村はようやく器のに手を伸ばした。
どうして上村は、自分のことは何も言ってくれないのだろう。プライベートを明かしたくないなら、せめて仕事のことくらい話してくれてもいいのに。やっぱり私では、聞き役にもなれないということなのだろうか。
上村が何も言ってくれないことに寂しさを覚えながら、私は上村がグレープフルーツを口に運ぶのをぼんやりと眺めていた。