ガラッと梨花がドアを開けると中にはチョークを持った田村や新田達がいた。
「あ、2人ともどこ行ってたの?あと2人だけだよー」
黒板には体育祭出場種目と書かれ、多くの種目が並んでいた。
そうだ、この体育祭で梨花と二人三脚をやることになって、それから話すようになったんだ。
「あれ?てか、梨花なんか髪伸びた?」
「え?そんなことないよ」
と、否定するが確かに1年半前と比べると色々と変化しているのかもしれない。
「思えば、遠藤くんも背伸びたような…」
「…彩ちゃん、私二人三脚以外ならなんでも良いよ」
「梨花、なんでそんな事」
俺は、咄嗟に梨花の腕を掴んだ。
なんでそんな出会うきっかけを失くすこと。
「あれ、いつの間に遠藤くん、梨花って呼ぶようになったの?」
1年半前で何も知らない田村が不思議そうに尋ねて来たので俺は梨花の腕を解いた。
「…出会わなかったらこんな想いをすることも無かったから。過去を変えて、やり直すんだよ。きっと、神様がやり直すきっかけをくれたんだよ」
梨花は、田村達には聞こえないような小さな声で呟くように言った。
「遠藤くんは?何にする?」
既に梨花を借り物競争に書き込んだ新田が聞いてきた。
「…俺は、借り物競争以外ならなんでも」
「了解!」
そう言いながら新田は俺の名前を障害物競争に書き込んだ。
「亮一くん…」
梨花は安心したような、ちょっと驚いた顔をしてそう言った。
「俺は、過去がどう変わっても梨花の事を好きでいる自信がある」
田村達には聞こえないよう、小さな声で、でもしっかりと梨花に言った。
新田が俺の名前を書き込むのを見て梨花は教室を飛び出していった。
「梨花!」
俺は追いかけて、追いかけっこになって、結果再び、2人で転げ落ちた。