「今年のクリスマスはどうしようか」
クリスマスは付き合った記念日だ。
階段を下りながらいつものようにそう話した。
「…あー、うん」
隣にいた梨花の足音がピタッと止まった。
「梨花?」
なんとなく違和感を感じた。
「…私も色々調べてみる!」
梨花は少しの沈黙の後そう言って再び歩き出した。
「うん、あ、そういえば何で職員室に呼ばれてたの?」
「んー、進路の事で。玄関で待ってるって言ってたのにごめんね」
「大丈夫だよ。…進路か、あんまり考えて無かったけどもう考える時期か。梨花は介護士になりたいんだっけ?」
「…うん、亮一くんは夢あるの?」
「夢か…。今はなぁ…。保育園の時は大仏なりたいって言ってたらしい」
「大仏⁉変わってるね、ヒーローとかかと思ってた」
笑いながら梨花はそう言った。
感じていた違和感はどこかに消えていた。
やっぱり、君には笑顔が似合うよ。