「あと3年か」
帰り道、手を繋ぎながら自分でも気づかずにそう呟いていた。
「20歳になるまで?」
顔をのぞき込んで梨花が聞いてくる。
「うん」
「待たなくて良いよ。寂しい思いしてほしくないもん」
でも、という言葉が出かかったが、梨花の思いを悟ってなにも言わない事にした。

「あと3日、やりたい事ある?」
なんとか話を変えるよう、聞いた。
「うーん、そうだなぁ」
梨花は手を顎に添えて考えて
「思い出づくりがしたいな。だって、思い出はいつまでも消えないでしょ?」
握る手の力が、少しだけ強くなったように感じた。

そして、残りの3日間思い出を作ろうと色んなところに出かけた。