伍
玉藻前が炎の妖術で攻撃し、俺はひたすら避けた。
茨木は遠距離から妖術で攻撃しているがそれもなかなか当たらない。
やはり普段から人間を食べてるせいか昔よりもかなり強くなってる。
それに……妖術はまだいい。だけど、たまに攻撃してくるこいつの爪が1番怖い。
「おいおいおいおい。酒呑童子さんよ〜? さっきまでの威勢はどこいった〜?」
「お前はどっかのチンピラかよ!」
俺の傍にまとわりついてる炎を一振りで全て消し去り玉藻前に向かっていくが刀を振った時に物理攻撃が来たため避けてまたリセット。こいつ自身にはなかなか攻撃をあてられない。
「酒呑! 僕が代わります!」
「いや、いい。俺がや……っ!?」
……あ。
「僕相手に無駄話だなんて余裕だね」
つい、集中力を切らしてしまい、その隙を狙われたみたいだ。胸に地味な痛みを感じ恐る恐る胸元を見てみると爪がぶっ刺さってた。
や、やべぇ……
「酒呑!!」
「ん……ぐっ……」
俺の意識とは裏腹に身体が大きな石が乗ったかのような重力がかかり無意識に膝をついてしまった。口の中に違和感を感じ、吐き出すと血の塊が出てきて鼻から鼻血がポタポタと流れてくる。
玉藻前はそんな俺を見てニタニタと気味の悪い笑顔をうかべている。
「君も警戒してた通りこの爪には毒が付いてるんだよね。ふふっ」
「ど、毒ですか!? 酒呑!!」
茨木が焦った声を上げて駆け寄ってきてる気がする。
ラリってるのか視界がぐわんぐわん揺れていて実際のところ茨木が駆け寄ってきてるのかわからない。もしかすると、玉藻前がトドメを刺しに走ってきてるのかもしれない。
「ふっ……ははっ……玉藻前、お前に殺されんならいいわ。早くとどめ刺せよ」
俺が力なく言うと頭上から声が降ってきた。
じゃあ、俺の近くに来たのは玉藻前、か。
「さすが鬼の大将。潔がいいね」
そう言って上から何か振り落とされる気配がした。
「酒呑!!」
茨木のつんざく悲鳴が聞こえ、俺はパッと手を上げて降ってくる何かを掴んだ。
「な、なんだ……?」
予想外の展開に玉藻前は困惑している。
「ばーか。この俺様がお前ごときで白旗上げると思ったのか?」
俺が麻痺した表情筋を無理やり動かせてニンマリ笑うとぼやけた視界の中でも玉藻前の焦った顔が見える。
俺は何かを掴んだままあいてる手で懐に潜めていたタンポポを取り半分だけ食いちぎった。
「酒呑が……頭いかれてしまいました……タンポポ食べるとかありえないですよ。それに、白旗既に上げてたじゃないですか。頭大丈夫ですかね」
ちなみに、1番衝撃を受けていたのは茨木。
かなりでかい声で独り言呟いてた。というか、俺の悪口を呟いてた。
「お前……なんで動けるんだ……僕の毒をまともに食らって……」
「動けねぇよ。今だってギリギリだ。でもな……」
ここで少し間をあけて俺は大きく息を吸った。
「ーー俺は、獄卒の頭だ! こんな所でへばってちゃ、下のやつらを見下せねぇ!」
「いいこと言うかと思ったらかなり最低なこと言ってますよ! この鬼!」
茨木のツッコミは無視して俺はそのまま手から出した火の粉を撒き、視界を奪うとすかさず茨木が手から出したツルで玉藻前を縛りつけた。
「いっちょ上がり!」
俺が手をはたいていると玉藻前は「くっくっく」と中二病くさい笑い声を上げた。
「僕がここで引き下がるとでも? 僕は絶対に屈しない! 絶対に働かない!」
「堂々とニート宣言すんじゃねぇ!」
俺が項の部分をチョップすると、玉藻前は白目を向いてバタッと倒れた。
よし。これで静かになった。
「酒呑、毒は大丈夫ですか?」
「ん? あぁ。これのおかげでな」
俺は半分だけになったタンポポを茨木に見せた。
「タンポポですか?」
「おう。タンポポは毒消しの役割があんだ。だから、これ食べてアドレナリンで復活だぜ!」
俺が両腕を上げて元気なことをアピールすると茨木は安堵の笑みを浮かべた。
「さすが。バカは毒は効かないっていいますしね」
「それを言うならバカは風邪ひかないだ! 毒は効くだろ! あと、バカはお前の方だ! 収拾できないツッコミさせんな!」
玉藻前を倒したことによってバリアが全部無くなり、なんやかんやで地獄に帰ることが出来た。
玉藻前が炎の妖術で攻撃し、俺はひたすら避けた。
茨木は遠距離から妖術で攻撃しているがそれもなかなか当たらない。
やはり普段から人間を食べてるせいか昔よりもかなり強くなってる。
それに……妖術はまだいい。だけど、たまに攻撃してくるこいつの爪が1番怖い。
「おいおいおいおい。酒呑童子さんよ〜? さっきまでの威勢はどこいった〜?」
「お前はどっかのチンピラかよ!」
俺の傍にまとわりついてる炎を一振りで全て消し去り玉藻前に向かっていくが刀を振った時に物理攻撃が来たため避けてまたリセット。こいつ自身にはなかなか攻撃をあてられない。
「酒呑! 僕が代わります!」
「いや、いい。俺がや……っ!?」
……あ。
「僕相手に無駄話だなんて余裕だね」
つい、集中力を切らしてしまい、その隙を狙われたみたいだ。胸に地味な痛みを感じ恐る恐る胸元を見てみると爪がぶっ刺さってた。
や、やべぇ……
「酒呑!!」
「ん……ぐっ……」
俺の意識とは裏腹に身体が大きな石が乗ったかのような重力がかかり無意識に膝をついてしまった。口の中に違和感を感じ、吐き出すと血の塊が出てきて鼻から鼻血がポタポタと流れてくる。
玉藻前はそんな俺を見てニタニタと気味の悪い笑顔をうかべている。
「君も警戒してた通りこの爪には毒が付いてるんだよね。ふふっ」
「ど、毒ですか!? 酒呑!!」
茨木が焦った声を上げて駆け寄ってきてる気がする。
ラリってるのか視界がぐわんぐわん揺れていて実際のところ茨木が駆け寄ってきてるのかわからない。もしかすると、玉藻前がトドメを刺しに走ってきてるのかもしれない。
「ふっ……ははっ……玉藻前、お前に殺されんならいいわ。早くとどめ刺せよ」
俺が力なく言うと頭上から声が降ってきた。
じゃあ、俺の近くに来たのは玉藻前、か。
「さすが鬼の大将。潔がいいね」
そう言って上から何か振り落とされる気配がした。
「酒呑!!」
茨木のつんざく悲鳴が聞こえ、俺はパッと手を上げて降ってくる何かを掴んだ。
「な、なんだ……?」
予想外の展開に玉藻前は困惑している。
「ばーか。この俺様がお前ごときで白旗上げると思ったのか?」
俺が麻痺した表情筋を無理やり動かせてニンマリ笑うとぼやけた視界の中でも玉藻前の焦った顔が見える。
俺は何かを掴んだままあいてる手で懐に潜めていたタンポポを取り半分だけ食いちぎった。
「酒呑が……頭いかれてしまいました……タンポポ食べるとかありえないですよ。それに、白旗既に上げてたじゃないですか。頭大丈夫ですかね」
ちなみに、1番衝撃を受けていたのは茨木。
かなりでかい声で独り言呟いてた。というか、俺の悪口を呟いてた。
「お前……なんで動けるんだ……僕の毒をまともに食らって……」
「動けねぇよ。今だってギリギリだ。でもな……」
ここで少し間をあけて俺は大きく息を吸った。
「ーー俺は、獄卒の頭だ! こんな所でへばってちゃ、下のやつらを見下せねぇ!」
「いいこと言うかと思ったらかなり最低なこと言ってますよ! この鬼!」
茨木のツッコミは無視して俺はそのまま手から出した火の粉を撒き、視界を奪うとすかさず茨木が手から出したツルで玉藻前を縛りつけた。
「いっちょ上がり!」
俺が手をはたいていると玉藻前は「くっくっく」と中二病くさい笑い声を上げた。
「僕がここで引き下がるとでも? 僕は絶対に屈しない! 絶対に働かない!」
「堂々とニート宣言すんじゃねぇ!」
俺が項の部分をチョップすると、玉藻前は白目を向いてバタッと倒れた。
よし。これで静かになった。
「酒呑、毒は大丈夫ですか?」
「ん? あぁ。これのおかげでな」
俺は半分だけになったタンポポを茨木に見せた。
「タンポポですか?」
「おう。タンポポは毒消しの役割があんだ。だから、これ食べてアドレナリンで復活だぜ!」
俺が両腕を上げて元気なことをアピールすると茨木は安堵の笑みを浮かべた。
「さすが。バカは毒は効かないっていいますしね」
「それを言うならバカは風邪ひかないだ! 毒は効くだろ! あと、バカはお前の方だ! 収拾できないツッコミさせんな!」
玉藻前を倒したことによってバリアが全部無くなり、なんやかんやで地獄に帰ることが出来た。