市蔵はいまさらながら妻への怒りが込み上げて来たのか、水槽の中の深海鮫のペッタンコのお腹を下から睨みつけていた。

「うん、まあ……専門用語はわからないけど、そういうことで……。私も大人になったらお祖父ちゃんに弟子入りして、ちょっぴりスリル味わっちゃおうかなぁなんて……」

祖母はまったく心配していないというか、祖父には無関心なのに大嘘をついた手前、少しだけ調子のいいことを言ってしまう明日香。

「おお!いいとも!明日香ちゃんはお祖父ちゃんに似て勘が鋭いから大穴を当てること、間違いなしだよ!ちなみに、平和島ボートレースでは初心者講習を事前に予約すれば、ボートレースのルールや舟券の購入の仕方をレクチャーしてくれるから、大人になったら是非ともチャレンジしてみなさい!」