その場に居合わせた係員さん全員に平謝りし、無事に明日香を引き取ると、孫娘の手を引き市蔵は脱兎の如く駆け出した。

もうとにかく、人目に付かない場所に行きたい!

誰にもこの顔を見られるワケにはいかない!

まるで追っ手から逃れる逃亡者のような気分で逃げ込んだのがここ、海洋深層水館だった。

「ハアハア……あ、明日香ちゃん。む、迎えに来てくれたのはうれしいけど、お祖父ちゃんはか、かなり恥ずかしかった……」

「ああ、だからこんな暗い場所に来たの?ここ、何だか面白いね!」

この海洋深層水館は通常の水族館の暗さをさらに暗くした空間であり、ここでは深海生物の飼育と展示が行われていた。