「凄いでしょ!?いやぁ、我ながらいい考えだった!係員の人たちもみんな親切で協力的でね!あれ?お祖父ちゃんたらどうしたの?肩で荒い息して?私の話、聞いてる?」

念願の祖父に会えて上機嫌の明日香とは対象的に、市蔵はぐったりと疲れ果てていた。

館内放送ですぐさま、自分のことだと気付いたものの、爆笑の渦の中を走ってサービスカウンターへ向かえば

【ほら!あのおじいさんよ!】

と好奇の目で見られるかも知れない。

極力目立たぬようにしかし、あくまでもダンディに、愛用のパナマ帽を目深に被り、肩をすぼめてハードボイルドな歩き方を追究してやっとのことで、明日香の待つ、サービスカウンターにたどり着いたのだ。