「このご恩は一生忘れません」

カメは塚に手を合わせていた。

「やめい!私はまだ生きておる!しかも何故貝塚に手を合わせる!?」

「貴方に食べられた貝に感謝をしてます」

カメはすっかり元気になった。その上私も生きていた。

どうやらあの時使った命は百個めではなかったらしい。

「私は貝や魚でよいがお前は草食ゆえこの島では食料不足だ。筏で新たな島を捜さぬか?お前と私で」

「今まで陸亀は海を渡れなくて諦めていました。私もあと百年は大丈夫!貴方と共にどこまでも!」

すっかり顔色も良くなったカメは陽気に答えた。

「百年ではない。1万年だ」

「鬼の命でそんなに長生きできるの?」

「当然だ!鶴は千年亀は万年というからの!」

私は心から大笑いした。

仲間がいればこの先、寂しさでヤケを起こして百個めを無駄遣いする事もないだろう、そう思えた。