「映画、良かったね!」
「うん。良かった!」

外へ出るなり、僕たちは言い合った。
確かにネットの評価も高かったけど、ここまでだとは思っていなかった。
最初から最後まで隙がなく作り込まれたその映画は、至極のエンターテイメントと言えるものだった。

「あのオープニングがさ、何かグッと引き込まれる感じでさ」
「うん、そうそう!」

彼女が拳をブンと振って応える。同じ思いを共有できたことが、何だか嬉しかった。

前にどっかで、『初デートで映画はNG!』って記事を見たけど、あれは嘘だ。
同じものを見て、聴いて、感じて。
僕と彼女の心の距離が、グッと縮まった気がした。

「じゃあ、お茶でも飲もうか」
「うん!」

すごくいい流れだった。