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 あれから宏樹と瀬野は、三時間以上も同じ居酒屋で粘り続けた。

 最初はのんびり飲んでいたのだが、次第にピッチが上がり、気が付くと、中生五杯、焼酎三杯、挙げ句の果てには熱燗を徳利三本分空けていた。

 アルコールには強いと自負しているが、さすがに今日は飲み過ぎた、と宏樹は多少なりとも後悔していた。
 しかも明日も仕事がある上、車は職場に置いてきてしまった。
 いつもよりも早起きしなくてはならないと考えると、よけいに気分が沈む。

(仕事中に居眠りなんてしようもんなら、今日以上に課長の雷が落ちるな)

 日中のことを改めて想い出して、宏樹は溜め息を吐いた。
 要は、宏樹自身が気を引き締めてさえいれば問題ないことなのだが。

(それにしても、今夜も一段と冷えるな)

 宏樹は家の前まで来たが、ピタリと立ち止まり、そのまま夜空を仰いだ。

 空気が澄んでいるからだろう。
 闇の中に、宝石の欠片を散りばめたように星が点々と瞬いている。
 星に特別な想いは特にないはずだが、それでも見入ってしまう。
 心のどこかでは、美しいものに癒されたいと渇望しているのか。