どうにか適当にあしらいたいところではあるが、デスクを離れられる理由がない限りは、瀬野の毒牙からは逃れられそうになかった。
だが、瀬野から逃れられる機会を、思わぬ人物が与えてくれた。
「おい、高沢、無視すんなってばよお」
「してませんよ。――それよりも瀬野さん、課長がこっちを睨んでいますよ?」
宏樹の言葉通り、先ほどまで彼に説教を食らわせた課長は、鋭い眼力でこちらを睨んでいた。
瀬野も、それにやっと気付いたらしい。
「うおっ! 仕事仕事、っと!」
わざとらしく声を上げると、瀬野は姿勢を正して仕事を再開した。
彼から解放された宏樹は、ホッと胸を撫で下ろした。
(課長に感謝、かな)
課長は別に宏樹を助ける気などさらさらなく、むしろ、仕事をサボっているふたりに苦々しい感情を抱いていただけだろうが、それでも、瀬野から解放してくれたことに対し、そう思わずにはいられなかった。
だが、瀬野から逃れられる機会を、思わぬ人物が与えてくれた。
「おい、高沢、無視すんなってばよお」
「してませんよ。――それよりも瀬野さん、課長がこっちを睨んでいますよ?」
宏樹の言葉通り、先ほどまで彼に説教を食らわせた課長は、鋭い眼力でこちらを睨んでいた。
瀬野も、それにやっと気付いたらしい。
「うおっ! 仕事仕事、っと!」
わざとらしく声を上げると、瀬野は姿勢を正して仕事を再開した。
彼から解放された宏樹は、ホッと胸を撫で下ろした。
(課長に感謝、かな)
課長は別に宏樹を助ける気などさらさらなく、むしろ、仕事をサボっているふたりに苦々しい感情を抱いていただけだろうが、それでも、瀬野から解放してくれたことに対し、そう思わずにはいられなかった。