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 しっかりと睡眠を取ったお陰で、翌日の目覚めは快調だった。
 ぶり返した熱も、深夜のうちに引いたようだ。

 紫織はベッドから這い出ると、パジャマの上からカーディガンを羽織り、辺りに漂う冷たい空気に身震いしながら部屋を出た。

 階段を降り、洗面所に行くまでも、そのあまりの寒さに両手で自らの身体を抱き締める。

 家の中なのだから、決して距離があるわけではないのに、それでも長く感じてしまう。

 洗面所に着くと、真っ先に湯の出る蛇口を捻る。
 最初は冷水が出ていたが、時間が経つにつれ、そこから湯気が立ち昇る。

 紫織はそれを確認すると、流れ出る湯に手を翳した。
 冷えかけていた手に、温かさがじんわりと染み渡ってゆく。

 ある程度手を温めてから、今度は湯から手を離し、洗顔と歯磨きに取りかかった。
 湯は相変わらず出しっ放し。
 母親に見咎められたら、確実に叱られるであろうと思ったが、やはり、寒さにはどうしても勝てない。

 紫織は見付からないことをひっそりと願いつつ、手早く作業を進めた。

 洗顔を済ませ、制服に着替えた紫織は、ゆったりとした足取りでリビングへと姿を現した。