初雪から二日後、紫織の身体は、ようやく学校へ行けるほどにまで回復した。

「良くなったからって、無理したりしちゃダメだからね?」

 家を出るまで、母親に散々釘を刺された。

「言われなくたって大丈夫だよ」

 紫織は深い溜め息を吐くと、「行って来ます」と言って家を出た。

 外は連日降り続いた雪で、白銀色に覆われている。
 今日は久々に空から陽光が降り注ぎ、辺りの雪を眩いばかりに照らしていた。

(でもやっぱ、寒いのには変わりないな)

 紫織は凍て付く空気に顔をしかめながら、一歩一歩、雪を踏み締める。
 そのたびに、足元からは、ギュッギュッと小気味良い音が鳴り響いた。

 数歩歩くと、高沢家の前に差しかかる。
 紫織は無意識にその場に立ち止まった。

 すると、まるでそれを見計らったかのように、タイミング良く玄関が開いた。

(もしかして、朋也……?)

 紫織は即座に逃げてしまいたくなったが、それも不自然な気がして何とか思い留まった。
 そこから人が出て来るのを、固唾を飲んでジッと見つめる。