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 紫織はあれから、家から少し離れた場所で降ろされた。
 やはり宏樹は、朋也へ対しての罪悪感は拭いきれないらしい。

「高校を卒業するまで、か……」

 雪の降る中をトボトボ歩いていると、ちょうど反対側からひとりの少年が歩いてくる姿が目に飛び込んだ。
 宏樹の弟――朋也だった。

 朋也もまた紫織に気付いたらしく、足早にこちらに近付いて来て、「よ」と声をかけてきた。

「紫織もどっか行ってたのか?」

「あ、うん。まあ……」

 紫織は不自然な受け答えをしてしまった。

 朋也は一瞬、怪訝そうに紫織を見つめていたが、すぐにいつもの表情に戻り、彼女の隣に並んで歩いた。

「あ、そうだ!」

 歩き出すなり、朋也が急に声を上げた。

「な、なに……?」

 紫織は、今日のことがバレてしまったか、と焦ったが、どうやら違ったらしい。

 朋也はコートのポケットから何かを取り出すと、それを紫織の前に差し出してきた。
 よく見ると、包装紙で綺麗にラッピングされ、赤いリボン付きのシールが貼られている。

「――これは……?」

 目を丸くして紫織が訊ねると、朋也は「見りゃ分かるだろ」とぶっきらぼうに言い放った。

「クリスマスプレゼントの礼。ちょっと日が経っちまったけど、やらないわけにはいかないよなあ、と思ってさ。――ま、そんなに重たいもんじゃないから貰っとけよ」

 そう言うと、朋也は半ば強引にプレゼントを押し付けてくる。

 紫織は呆気に取られたまま、それを受け取ってしまった。