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 外に出ると、室内とは比べものにならないほどの冷気が身体中に纏わり付いてきた。

 朋也はともかく、寒いのが大の苦手な紫織は自らを抱き締めながら全身をカタカタと震わせている。

「お前、今からそんなに寒がっててどうするよ? これからもっともっと寒さが厳しくなるってのに……」

 並んで歩きながら、朋也は呆れ口調で言った。

「しょうがないでしょ。寒いものは寒いんだから……」

 口を尖らせて屁理屈をこねる紫織に、朋也も思わず溜め息を吐いた。

 考えてみると、紫織は昔から冬は自ら進んで外に出たがらなかった。
 極端に身体が弱いわけではないが、免疫力があまりないせいか、冬になると必ずと言っていいほど風邪をひいて寝込んでしまう。

 幼い頃は、彼女が風邪を引くたびに母親が用意してくれた果物や菓子などを手土産に見舞いに行っていた。
 だが、今は、学校や外で顔を合わすことがあっても、互いの家への行き来は少なくなった。

 特に紫織は、朋也から声をかけない限り絶対に家に来ようとしない。
 来たとしても、朋也や兄の宏樹の部屋にはいっさい入らず、リビングで母親を交えて談笑をする程度。
 それも、心なしかよそよそしさを感じさせる。
 きっと、年を重ねてゆくごとに分別が付くようになっただけであろうが、それでも朋也の中の違和感は拭いきれなかった。

 いや、本当は朋也も紫織の心情に気付いていた。
 紫織は宏樹を好きなのだ。
 〈兄〉としてではなく、ひとりの〈男〉として。