◆◇◆◇
しばらく車に揺られているうちに、紫織に睡魔が襲ってきた。
気力で持ち堪えられるだろうと思ったが、やはり、無理があったらしい。
(これじゃ、前に海に行った時と同じになっちゃうよ……)
紫織は何とか眠気を飛ばそうと、何度も瞬きを繰り返したり、さり気なく頬をつねってみたりしてみたが、全く効果がない。
それどころか、ほど良い温かさと震動が手伝って、さらに夢の世界へ引きずり込まれそうになる。
目の前の信号が赤に変わったので、車が停止した。
と同時に、宏樹が紫織に視線を向けた。
「眠いのか?」
ストレートに訊ねてきた。
紫織はギクリとしたが、「違うよ」と首を振った。
「ちょっと疲れただけだから……。だから気にしないで」
「強がりを言ったって無駄だぞー」
宏樹はニヤリと口元を歪めた。
「前にも言っただろ? 俺は変に我慢されるより、素直に寝てもらった方が助かる、ってね」
「――それはちゃんと憶えてるよ」
「だったらすぐに寝なさい。これは俺からの命令。着いた先でぶっ倒れられても困るだけだしな」
そこまで言われてしまうと、紫織ももう、返す言葉が見付からない。
「――分かりました……」
紫織は口を尖らせながら答えつつも、内心では、宏樹の好意をありがたく感じていた。
そのうち、信号が青に変わった。
宏樹が車をスタートさせてから、紫織は数分と経たないうちに深い眠りに堕ちた。
しばらく車に揺られているうちに、紫織に睡魔が襲ってきた。
気力で持ち堪えられるだろうと思ったが、やはり、無理があったらしい。
(これじゃ、前に海に行った時と同じになっちゃうよ……)
紫織は何とか眠気を飛ばそうと、何度も瞬きを繰り返したり、さり気なく頬をつねってみたりしてみたが、全く効果がない。
それどころか、ほど良い温かさと震動が手伝って、さらに夢の世界へ引きずり込まれそうになる。
目の前の信号が赤に変わったので、車が停止した。
と同時に、宏樹が紫織に視線を向けた。
「眠いのか?」
ストレートに訊ねてきた。
紫織はギクリとしたが、「違うよ」と首を振った。
「ちょっと疲れただけだから……。だから気にしないで」
「強がりを言ったって無駄だぞー」
宏樹はニヤリと口元を歪めた。
「前にも言っただろ? 俺は変に我慢されるより、素直に寝てもらった方が助かる、ってね」
「――それはちゃんと憶えてるよ」
「だったらすぐに寝なさい。これは俺からの命令。着いた先でぶっ倒れられても困るだけだしな」
そこまで言われてしまうと、紫織ももう、返す言葉が見付からない。
「――分かりました……」
紫織は口を尖らせながら答えつつも、内心では、宏樹の好意をありがたく感じていた。
そのうち、信号が青に変わった。
宏樹が車をスタートさせてから、紫織は数分と経たないうちに深い眠りに堕ちた。