「ダメダメ、ちょっとだけって約束だっただろ? それに、お互い薄着なんだから、風邪を引いたら元も子もないじゃないか」

「あ、そっか。日曜日に出かけられなくなったら困るもんね」

「そういうこと」

 宏樹は紫織の頭を軽く叩いた。

「じゃ、すぐに家に入れよ? バレたら小母さんにこっぴどく叱られちまうぞ?」

「うん、分かった」

 紫織は頷いた。

「それじゃ宏樹君、また日曜日ね。お休みなさい」

「ああ、お休み」

 宏樹が手を挙げると、紫織もそれに応えるように小さく手を振る。
 そして、名残惜しそうにしながら家の中へ入って行った。

 紫織を見届けてから、宏樹は自分の車の前まで行き、それに寄りかかるように座り、紙袋を開けてみた。

 中からは今度は、手の平に乗るほどの小さな紙包みが出てきた。
 リボンのついたシールも貼られている。

 宏樹は紙包みのテープを剥がして中身を見た。

「ぶっ……!」

 正体が分かったとたん、思わず吹き出してしまった。

「紫織らしいといえば紫織らしいけど……。それにしたって……」

 宏樹は喉の奥を鳴らして笑いながら、それを取り出した。