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 今朝のニュースで、宏樹は今日がクリスマスイヴであることを改めて認識した。
 だが、毎日仕事に追わている彼には、クリスマスに特別な感情は湧かない。
 それに、今はもう、一緒に過ごせる相手もいないのだから。

 千夜子から最後の電話がかかってきてから数日後、宏樹は再び彼女に電話した。

 宏樹もあれからしばらく悩んだが、最終的には、やり直す気はないことをはっきりと伝えた。

 千夜子にはずいぶんと酷なことを言ってしまったと思うが、同じことの繰り返しになるであろうことは目に見えている。

 後悔していない、と言えば嘘になる。
 しかし、気持ちが軽くなったのも本当だった。

(瀬野さんのお陰でもあるかもな)

 宏樹は、強引に飲みに連れて行かれた日のことを想い出していた瀬野は厄介な先輩ではあるが、半面で、頼れるところも確かにある。
 話を聴いてもらえて良かった、と感謝出来た。