「いかがですか?」
マフラーを真剣に見ている紫織に、店員が訊ねてきた。
「そうですね……」
紫織は少し躊躇ってから、だが、正直に思ったことを口にした。
「凄くいいと思うんですけど……。もうちょっと、見てから考えてみます」
「そうですか」
紫織の言葉にも、店員はやはり、嫌なひとつ見せない。
「では、また何かありましたら、ご遠慮なくお声をかけて下さいね」
「――すみません……」
悪いことをしてしまったような気持ちになり、つい謝罪を述べると、店員は「いえいえ」と大袈裟に思えるほど右手を振った。
「大切な方への贈り物であれば、慎重になって選びませんと。何より、お客様がお気に召さなければ、贈られる相手の方にも気持ちが伝わりませんしね」
店員の言うことはもっともだ、と紫織は思った。
涼香も言っていたが、一番は紫織自身の気持ちなのだ。
やはり、自分が本当に良いと思った物を贈った方が、宏樹や朋也も喜んでくれるに違いない。
「ありがとうございます。それじゃあ、またあとで寄ります」
紫織はそう言い残すと、店員のスマイルを一身に受けながら店内をあとにした。
マフラーを真剣に見ている紫織に、店員が訊ねてきた。
「そうですね……」
紫織は少し躊躇ってから、だが、正直に思ったことを口にした。
「凄くいいと思うんですけど……。もうちょっと、見てから考えてみます」
「そうですか」
紫織の言葉にも、店員はやはり、嫌なひとつ見せない。
「では、また何かありましたら、ご遠慮なくお声をかけて下さいね」
「――すみません……」
悪いことをしてしまったような気持ちになり、つい謝罪を述べると、店員は「いえいえ」と大袈裟に思えるほど右手を振った。
「大切な方への贈り物であれば、慎重になって選びませんと。何より、お客様がお気に召さなければ、贈られる相手の方にも気持ちが伝わりませんしね」
店員の言うことはもっともだ、と紫織は思った。
涼香も言っていたが、一番は紫織自身の気持ちなのだ。
やはり、自分が本当に良いと思った物を贈った方が、宏樹や朋也も喜んでくれるに違いない。
「ありがとうございます。それじゃあ、またあとで寄ります」
紫織はそう言い残すと、店員のスマイルを一身に受けながら店内をあとにした。