◆◇◆◇
紫織が向かった先は、大型ショッピングセンターだった。
そこには多種多様な店が入っているので、外をいちいち歩き回らなくても一カ所で買い物を済ませられる。
何より、寒がりな紫織にはとてもありがたい場所でもあった。
ただ、店内に入ると、外とは対照的な熱気を感じた。
暖房がしっかり効いている上、人が密集しているから無理もない。
紫織は帽子と手袋を外したものの、それでもまだ暑くて、とうとうコートまで脱いでしまった。
これにより、よけいな荷物が増えた。
(だから冬って嫌い)
心の中ぼやきながら、まず、男性小物を扱う店へ足を運んだ。
ショッピングセンター内だから閉鎖的ではないが、あまり慣れないから、中を見て回るのは多少なりとも抵抗があった。
(とっとと決めて出よう!)
そう思った時だった。
「何かお探しですか?」
背中越しに声をかけられた。
突然のことに紫織は心臓が飛び上がらんばかりに驚き、恐る恐る後ろを振り返った。
こちらに向かって、にこやかに微笑む女性と目が合う。
私服姿ではあるが、胸の辺りに小さなネームプレートが付けられていたので、考えるまでもなくこの店の従業員だ。
「え、えっと……」
店員から声をかけられることを全く想定していなかった紫織は、すっかり動揺してしどろもどろになっていた。
何でもない、と言って逃げようかとも思ったが、それも失礼な気がした。
(この際だし、店員さんにアドバイスしてもらった方がいいかな)
そう思い、紫織は意を決して口を開いた。
紫織が向かった先は、大型ショッピングセンターだった。
そこには多種多様な店が入っているので、外をいちいち歩き回らなくても一カ所で買い物を済ませられる。
何より、寒がりな紫織にはとてもありがたい場所でもあった。
ただ、店内に入ると、外とは対照的な熱気を感じた。
暖房がしっかり効いている上、人が密集しているから無理もない。
紫織は帽子と手袋を外したものの、それでもまだ暑くて、とうとうコートまで脱いでしまった。
これにより、よけいな荷物が増えた。
(だから冬って嫌い)
心の中ぼやきながら、まず、男性小物を扱う店へ足を運んだ。
ショッピングセンター内だから閉鎖的ではないが、あまり慣れないから、中を見て回るのは多少なりとも抵抗があった。
(とっとと決めて出よう!)
そう思った時だった。
「何かお探しですか?」
背中越しに声をかけられた。
突然のことに紫織は心臓が飛び上がらんばかりに驚き、恐る恐る後ろを振り返った。
こちらに向かって、にこやかに微笑む女性と目が合う。
私服姿ではあるが、胸の辺りに小さなネームプレートが付けられていたので、考えるまでもなくこの店の従業員だ。
「え、えっと……」
店員から声をかけられることを全く想定していなかった紫織は、すっかり動揺してしどろもどろになっていた。
何でもない、と言って逃げようかとも思ったが、それも失礼な気がした。
(この際だし、店員さんにアドバイスしてもらった方がいいかな)
そう思い、紫織は意を決して口を開いた。