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 電車に十分ほど揺られ、高校の最寄り駅に到着した。

 今月の第一日曜日には、涼香とここで待ち合わせして街に繰り出したが、今日はひとりなので何とも変な心地がした。
 そもそも、紫織は単独で遠出をすることが稀なのだ。

 しかも今の格好は、この街中ではさらに浮いて見える。

(やっぱ、もう少し考えれば良かったかも……)

 そう後悔してもあとの祭りだ。
 とはいえ、無理に薄着をしたとしても、それはそれで、もっと厚着をしてくれば良かった、と思ったに違いない。

(我ながらめんどくさい……)

 紫織は小さく溜め息を漏らすと、足早に歩いた。