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 外に出ると、今年一番の冷え込みだと天気予報で告げられていた通り、刺すような寒さが襲いかかってきた。
 これに紫織は、一瞬、怖気付きそうになったが、今日を逃したらプレゼントを買いに行くチャンスはもうないのだから、と自分に言い聞かせ、口元までマフラーを埋めながら歩いた。

 駅に向かうまでの間、数人の人とすれ違った。

 年齢も性別もまちまちで、紫織と同様に身を縮めている人もいれば、寒さを物ともせずに颯爽と歩いて行く人もいた。

 表情ひとつ変えずに過ぎ去って行く人を見ると、紫織は、ただただ感心するばかりだった。
 しかも、年配の人であれば驚きはさらに大きい。

(そうゆう人にしてみたら、私って滑稽に見えるんだろうな……)

 紫織はそう思いながら、改めて自分の格好を見てみた。

 ベージュのハーフコートにクリーム色のマフラー、五本指のピンクの手袋。
 そこまではまず普通であるが、紫織の場合、白い毛糸の帽子を目深に被り、コートの下にも分厚いセーターを着込んでいるため、異様なまでにモコモコして見える。

(無理して風邪引くよりはマシなんだから!)

 自分に言い聞かせてみるものの、それでも、周囲の痛い視線を感じてしまう。
 気のせいかもしれないが。

(気にしない! 人は人! 自分は自分!)

 もう一度、紫織は強く思った。