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 冬休み前最後の日曜日が訪れた。

 紫織は宏樹と朋也へのプレゼントを買うために、いつもの休日よりも早起きをした。
 と言っても、九時をとっくに回っていたのだから、決して早いとも言えないのだが、それでも、自主的に起きたことが珍しかったらしく、母親はあからさまに驚いていた。

「――今夜は雪じゃなくて槍が降るわね」

 紫織を顔を見るなり、真顔で呟いた。

「お母さん、実の娘に向かってなにその言い方は」

 紫織が口を尖らせながら文句を言うと、母親は「仕方ないじゃない」と頬に手を添えながら紫織を凝視した。

「あんたの場合、普段が普段でしょ。特に今のような時季は、学校がある日でも自主的に起きるなんてことは数えるほどしかないじゃない」

「だからって、そんなに驚かなくても……。――もういいや」

 紫織は反論を諦めて、深い溜め息をひとつ吐いた。

「とにかく、今日はちょっと出かけるから。なるべく遅くならないようにはするけど」

 そう言うと、部屋に一度戻って行った。