「涼香って、ひとりで何でも抱え込んじゃう方でしょ? 本当は辛くて堪らないくせに、意地張ってそんな素振りも全然見せなくて……。ほんと、宏樹君にそっくりだよ」

「〈宏樹君〉って、高沢の兄さんだっけ? そんなに似てんの?」

「うん。――あ、宏樹君の方がもっと意地っ張りかな」

 そこまで言うと、紫織はふと、宏樹がほろ酔いで帰って来た時のことを想い出した。

 あの時、宏樹にかけてもらったコートは、まだ紫織の部屋にある。
 返そうとは思っているのだが、最近はすれ違いが多いので、なかなか返すことが出来ない。

 朋也にお願いすることも考えた。
 だが、朋也の気持ちを思うと、軽々しく預けられない。

「クリスマス、かあ……」

 突然、涼香がポツリと呟いたかと思うと、「紫織はどうすんの?」と訊ねてきた。

「どうする、って?」

 紫織は首を傾げながら涼香を見つめた。

「だからクリスマスだよ。――あんたのことだから、なんかプレゼントをしようとか考えてるんじゃないか、って思ったからね」

 涼香に改めて言われて、紫織は初めてプレゼントのことを意識した。

 宏樹にはコートを借りたお礼を兼ねて、朋也にも、この間のお礼のつもりでと思い立った。
 しかし、異性へのプレゼントとなると、いったい何を贈ったら良いのだろうか。