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 ファーストフード店を出てから、紫織達は公園を探し当ててその中へ入って行った。

 寒さ対策も兼ねて、途中で見付けたコンビニで、紫織はホットミルクティーを、涼香はホットカフェオレを購入している。

 公園内は人気が全くなかった。
 あらかた融けつつある雪も、陽の当たらない部分にはまだ結構な量が残っている。

 ベンチの上は、日向にあるだけあって融けてはいたが、その代わり、びっしょりと濡れていたので、紫織と涼香はお互いにポケットティッシュを取り出し、地道に拭いて乾かした。

「じゃ、座ろっか」

 拭き終えるなり、涼香は真っ先に腰を下ろした。

 紫織もそれに倣う。

「で、その後はどんな感じ?」

 前触れもなしに、涼香は直球で訊ねてきた。
 もちろん、彼女が回りくどい言い方をしないのは紫織も重々承知していたので、今さら驚くこともなかった。

 ただ、どうなのか、と訊かれても答えようがないというのも正直なところである。

「どうなんだろ……」

 そう返すのが精いっぱいだった。

 涼香も芳しい答えは特に期待していなかったのか、「そっか」と手で握っているカフェオレ缶を弄ぶ。

「確かに、相手は十歳も年の離れた大人だもんね。そう簡単には揺らがないか」

「それもあるけど……」

 紫織はミルクティー缶を両手で包みながら、自らの顎の辺りまで持っていった。