「今さら隠しごとなんてなしだよ?」

 不意に涼香が言った。

「確かに私はこんな奴だけど、これでも、紫織の話はいつだって真剣に聴いて考えてんだからさ。――まあ、ここじゃ話しづらいかもしれないけど」

 涼香は辺りをグルリと見回すと、肩を竦めながら苦笑した。

 それに釣られるように、紫織も口元に笑みを浮かべる。

 涼香がいい加減な人間でないことは、紫織もよく分かっていた。
 他人の目に付く場所では、救いようのないキャラを演じてはいるが、それも全て自衛のためなのだ。

 本当は繊細で、誰よりも傷付くことを恐れている。
 それは、授業をサボったあの日に改めて知ることが出来た。

「――食べたら、もう少し落ち着ける場所を探そうか?」

 紫織は自然と口にしていた。

 涼香は、それがよほど嬉しかったのか、ニッコリと笑った。

「よし! それじゃ、とっとと食っちゃいますか!」

 嬉々として声を上げると、涼香はテリヤキバーガーとポテトをどんどんと胃に収めていった。

 いつもながらの食べるスピードの速さに、紫織は呆気に取られつつも、自分もすぐに片付けないとと思い直し、黙々と食べ続けた。