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 街中は、どこもかしこもクリスマスムード一色となっている。
 派手に装飾が施され、定番のクリスマスソングがひっきりなしに流れる。

 そんな中を、紫織と涼香はしばらく歩き回っていたが、涼香が空腹を訴え出したので、手頃なファーストフード店へ入って昼食を摂ることにした。

「もう十二月なんだよねえ」

 空いていた席に落ち着くなり、涼香が口を開いた。

「でも、クリスマスだからって、特別なことなんてなんもしないけどさ。ちっこい頃は、毎年、サンタさんからのクリスマスプレゼントが待ち遠しかったけど、さすがにこのトシになってまではねえ。
 せいぜい、家族揃って、ちょっといいご馳走とケーキを食べるぐらいでさ」

「まあ、確かにそうだね」

 これは紫織も涼香に同意した。

 所詮、クリスマスなんてものは子供か恋人同士のためのイベント。
 〈子供〉とも呼べなくなった年頃であり、報われることのない恋をし続けている紫織には、無縁としか言いようがない。
 もちろん、それは涼香も同じだ。

「――上手くいかないね……」

 ほとんど無意識に口にしていた。
 涼香はテリヤキバーガーの包装紙を剥がそうとして、ピタリと動きを止めた。

「――大丈夫?」

 いつになく深刻な表情で涼香が訊ねてくる。

 紫織はそこで、ハッと我に返った。

「え? ああ、別に大丈夫だよ」

「ほんとに?」

「ほんとだってば! もう! そうやって勘繰るのやめてよ!」

 紫織は眉根を寄せながら、いそいそと自分のチーズバーガーを開けた。
 水滴を吸い込んだバンズは重みがあり、口に入れてみると水っぽさを感じる。
 決して不味いわけではないが、やはり、味より安さがウリなだけあるなあ、とついついよけいなことを考えてしまう。