僕よりも数メートル前を歩いていたはずの井原さんの背中が、気付いたらあと数十センチまで迫っていた。
ここの横断歩道の赤信号は、やたら長いのだ。青に変わるまでの間、白線の手前では紺色の渋滞が発生がする。後続の生徒も足止めを食らい、横断歩道前の喧騒が徐々に大きくなっていく。
その喧騒の中で「そっかー、でも私は雨好きだよ」というひとつの声が、たまたま僕のセンサーに引っかかった。
それは井原さんの言葉だった。
隣に並んで一緒に登校していた女子が「嘘でしょ?雨で良いことなんて1つもないじゃん。何で?」と驚いた様子で問い返す声も聞こえた。
そのタイミングで信号が青に変わり、団子状態だった同じ制服の集団が、少しずつばらけていく。
井原さん達のその後の会話は、もう聞こえなくなってしまった。
ここの横断歩道の赤信号は、やたら長いのだ。青に変わるまでの間、白線の手前では紺色の渋滞が発生がする。後続の生徒も足止めを食らい、横断歩道前の喧騒が徐々に大きくなっていく。
その喧騒の中で「そっかー、でも私は雨好きだよ」というひとつの声が、たまたま僕のセンサーに引っかかった。
それは井原さんの言葉だった。
隣に並んで一緒に登校していた女子が「嘘でしょ?雨で良いことなんて1つもないじゃん。何で?」と驚いた様子で問い返す声も聞こえた。
そのタイミングで信号が青に変わり、団子状態だった同じ制服の集団が、少しずつばらけていく。
井原さん達のその後の会話は、もう聞こえなくなってしまった。