「うわ雨降ってる」
「ええー」
「またー?」
「最近天気悪すぎ」
ざわついた廊下の奥から聞こえてくる声に、僕も歩きながら、心の中で溜め息をついた。
「日中から夕方にかけて一旦雨は止みますが、夜遅くからまた降り出してくるでしょう」
今朝テレビで見た天気予報が蘇る。まだ4時だけど、もう降ってきてしまった。でも今は6月下旬、つまり梅雨真っ只中。いつ雨が降ってきてもおかしくはない。だから予報が外れたことに対して、いちいち怒ったりはしない。
というか、そもそも僕は何かに対してあまり腹を立てるということがないかもしれない。
今までは特に深く考えたことがなかったけれど、喜怒哀楽の4つの感情の中で、明らかに「怒」の割合が低いことに、18年間生きてきて、今初めて気付く。
……なんて、そんな大袈裟に言うことでもないか。他の人からしたらどうでもいい、小さすぎる新発見。