「はぁ……」
 枕に頭を突っ伏し、ため息を吐く。
 俺がなったのは頭痛や吐き気に襲われたり麻痺が起きたりする病気らしい。悪化すると意識障害が起きたり昏睡状態になったりして、最悪死ぬらしい。
「ハハ、死ななくてもこんなオチかよ」
 飛び降り自殺をした時に頭部が負傷してなってしまったそうだ。どうせ殺すなら、なんで生かしたんだよ。なんで空我になんか会わせたんだよ! 何で俺は、泣きそうになってるんだよ。何でさっき泣いたんだよ!
 ――もうやめとけ。これ以上心を開こうとするな。今ならまだ引き返せるだろ。本当にもうやめろ……。
 俺は人殺しで、あづはただの学生だ。友達がいて、親もいる明るい普通の学生だ。世界が違いすぎる。それになにより、俺は一緒にいる資格がないだろ。だって死ぬんだぞ。生きる気もないんだろ。だったら捨ててしまえ。
 忘れちゃえよあんなお節介野郎。

 ――無理だ。

 捨てられるなら、明日また来いなんて言っていない。
 優しさに飢えていた。いじめにあって、両親も姉も死んで、一人で生きてくしかないと思った。そう思っていてもどうしようもなく寂しくて、寒くて仕方がなかった。それはまるで、雪山にいるかのように。そこにつけこまれた。気を許しちゃダメだと思ってても、無意識のうちに許してしまっていた。絶対後悔するに決まっているのに。俺は馬鹿なのか。他人なんて信用すんなよ。信用したところで、どうせ捨てられるだろ。それならいっそ自分から捨てろよ!