最近、妙な夢ばかり見る。何かにぶつかって、私という存在が散り散りになっていくのだ。

 夢の中の私はそれを何よりも恐れていて、悲痛な声で泣き叫んでいた。
 朝起きても、その恐怖は続いている。

 不思議なことに、私は似たような恐怖を、“知っている”。
 いったいどこで、その恐怖を味わったのか思い出せない。

 暢気なことに、こんなに恐れているのに、朝食を食べると気にしないようになる。だから私は、悪夢について深く考えないでいた。

 けれど、ふとした瞬間に思う。
 私は、何を“忘れて”いるのだと。

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