「新しい地主ですよ」

 良夜さんが言ってしまったので、男性はガクリと肩透かししたようなリアクションを採っている。

「な、なぜ、先に言う? この私が、直接言おうと思っていたのに!」

「もったいぶるような情報でもないでしょう」

 良夜さんに向かってグルグルと唸っていたが、素早く立ち直る。テーブルに名刺を置いて、「こういう者だ」と胸を張っていた。

「経営コンサルティングマスター……?」

 よくわからない職業の下に、名前が書かれている。鷹司颯太(たかつかさそうた)、と。

 どうやら、日本人らしい。身内に外国の方がいらっしゃるのだろう。

「今、この家の権利は誰が持っているのだ?」

「私の父です」

「ということは、君は山田幸代の孫娘、というわけか」

「はい」

「不思議だな……」

「何が、不思議なのでしょうか?」