ただ、若者の姿のときと同じように動きたがるので、つごもりさんが面倒を見ている。
と、このように、満月大神はさまざまな姿を見せてくれるのだ。
毎晩のように振り回されているからか、新月の晩はなんだか寂しさを感じてしまう。
ひんやりと、冷たい風を感じる。五月なのに、夜は冷える。
庭に繋がる、掃き出し窓が開いていた。
縁側に、白い犬の後ろ姿を発見する。良夜さんだ。
月のない空を、ぼんやり眺めていた。
「良夜さん、まだ、寝ないのですか?」
『ええ……』
振り返らずに、答える。後ろ姿は、なんだか寂しそうだ。
「明日は繊月なので、また赤ちゃんの姿ですね」
繊月というのは、繊維のように細い月が浮かぶ晩である。この前、良夜さんが教えてくれた。月にはそれぞれ、名前があるようだ。
「あの、満月大神の話を、聞かせていただけますか?」
夜は長い。月のない夜空を見上げるより、何かしていたほうがいいだろう。
『何を、話せばいいのですか?』
「では、良夜さんと満月大神の出会いを、聞かせてください」
『仕方がないですね』
そう言いながらも、嬉しそうに、生き生きと話し始める。
良夜さんは満月大神のことを、心から慕っているのだなと、思った日の話であった。
と、このように、満月大神はさまざまな姿を見せてくれるのだ。
毎晩のように振り回されているからか、新月の晩はなんだか寂しさを感じてしまう。
ひんやりと、冷たい風を感じる。五月なのに、夜は冷える。
庭に繋がる、掃き出し窓が開いていた。
縁側に、白い犬の後ろ姿を発見する。良夜さんだ。
月のない空を、ぼんやり眺めていた。
「良夜さん、まだ、寝ないのですか?」
『ええ……』
振り返らずに、答える。後ろ姿は、なんだか寂しそうだ。
「明日は繊月なので、また赤ちゃんの姿ですね」
繊月というのは、繊維のように細い月が浮かぶ晩である。この前、良夜さんが教えてくれた。月にはそれぞれ、名前があるようだ。
「あの、満月大神の話を、聞かせていただけますか?」
夜は長い。月のない夜空を見上げるより、何かしていたほうがいいだろう。
『何を、話せばいいのですか?』
「では、良夜さんと満月大神の出会いを、聞かせてください」
『仕方がないですね』
そう言いながらも、嬉しそうに、生き生きと話し始める。
良夜さんは満月大神のことを、心から慕っているのだなと、思った日の話であった。