結局、祖母の家に立ち寄らないまま、東京に帰ってきてしまった。

 家の中は、祖母が生活していたままだろう。洗濯物だって、出しっぱなしかもしれない。
 畑に水をやる人も、いないだろう。

 祖母が大事にしていたぬか漬けだって、毎日混ぜないとダメになってしまうのに……。

 頭を抱え込んでしまう。

 祖母のいない家に行きたくなかったのだ。まだ、死を受け入れていないのだろう。