「僕の姿は、月の満ち欠けによって変わる。今日は月齢二十五だから、人間でいうと二十五歳くらいの姿なんだ。新月の日は、姿を現せなくなるから」

 口をぽかーんと開けたまま、話を聞いていた。
 白い犬が、タァン! と小さい前足でテーブルを叩いて怒る。

『ここまで話しても、信じていないようですね。つごもり! 黙っていないで、あなたも何か文句を言ってください』

『……』

 どうやら、大型犬がつごもりさんらしい。ということは、小型犬は良夜さんか。
 つごもりさんは眉などないのに、眉尻を下げて困った顔をするように良夜さんを見つめていた。

『喧嘩腰……よくない。萎縮……してしまう』