狛犬カフェで悩み事、祓います

 それは、町全体を描いたもので、各地にあるお店を紹介するものだった。

「パン屋にアクセサリーショップ、書店に皮製品の専門店、レストランまで!?」

 短期間で、ずいぶんとお店を誘致したようだ。

「ほら、君の店もある」

 狛犬カフェも“休業中”と書いてあるが、マップに描かれていた。

「毎日毎日、狛犬カフェはいつオープンするんだと聞かれて困っている。一秒でも早く、営業できるよう努めるんだ」

「はい!」

 桜の花びらがハラハラと風に乗って流れる中、私は走る。

 皆が待つ、町へと。

 狛犬カフェは、今日も営業する。

 おいしいお菓子と、お茶で、心のこもったおもてなしをするのだ。