狛犬カフェで悩み事、祓います

 春になり、桜が満開となる季節となった。

 リハビリを終えた私は、再び祖母の故郷へ降り立つ。

「遅い!」

 そう言って私を迎えたのは、鷹司さんだった。

「新しいパン屋とアクセサリーショップは、とうの昔にオープンし、そこそこ繁盛しているぞ」

「アクセサリーショップって、もしかして、徳岡さんのお店ですか?」

「ああ。今は、溝口さんだがな」

 溝口さんと徳岡さんは、結婚したようだ。どうなったか、気になっていたのだ。

「民泊も開始しているし、来週はマルシェもある。のんびりしている暇はないからな。ほら、見てみろ。たくさんの客が、押しかけている」

 鷹司さんが指差したほうを振り返る。

 駅に降り立ったのは、私だけではなかった。皆、何かマップのようなものを持っている。同じ物を、鷹司さんは手渡してくれた。