【死ぬまで仲良く】なんて、もう死ぬ私にできるはずもない。

私の後悔は、初恋の相手である灯山に告白できなかったこと。
ありきたりだけど友達が灯山を好きだったから、好きだと言い出せなかった。

何度も行動を起こせるタイミングはあった。
恋愛におけるチャンスもたくさんあった。

でも私はどの場面でも一歩を踏み出せなかった。
やらない後悔よりやる後悔だとよく言うけれど、まさにそのとおりだ。

行動を起こさなかった私の好きという感情は、死ぬ瞬間まで心の中にふわふわと漂って、ことあるごとに訴えかけてくるのだ。

あの時、ああしていれば。あの時、こうしていれば。
私の人生は、変わっていたかもしれないのに……と。

「永井?」

夕日は沈んでしまったらしい。
薄暗い明かりに照らされた灯山が、不思議そうに私を見ていた。
いきなり黙り込んだせいで変なやつだと思われたのかもしれない。

「もう下校の時間だけど、行かないのか?」
「うん……。私は、行けない」

きっと走馬灯はもう少しで終わる。
告白は玉砕。仲良くしてよ、という灯山の言葉にも答えることはできない。

7年前にこの言葉を聞けていたら、何か変わっていたのかなんて、考えたところで遅い。

「……ふうん。校門、閉じる前には帰りなよ」
「ありがとう」

灯山は深く尋ねることはせず、それだけ言って屋上を去った。