真っ白な天井を見上げて、荒い呼吸を繰り返す。

(もう、きっとあと少し……)

たくさんのしわが刻まれた手が、私の手を強く握っていた。
まるでどこか遠くにいく私を繋ぎ止めるように、行かないでと願うように。

それに応える気力は私にはもうなくて、ただ苦しげな表情を浮かべる愛しい人達をぼやけ始めた視界にうつす。

(伝えたいことも、したいことも、たくさんあったのにな)

後悔の波は幾度となく押し寄せる。
いろんな人の顔が浮かんでは消え、最後に『彼』が瞼の裏に映った。

それは私の人生で一番最初の、後悔だ。

緩やかに意識が体の奥に吸い取られていく。

みんなの声が遠くなって、握られた手の感覚も薄れて……
そして私は、目を開けた。