「寝ろ。寝れば治るから」
「……うん」
少しすると、寝息が聞こえた。
「……」
軽く、頬を抓(つね)ってみる。
柔らかくて、気持ちいいな。
さっき眠ってた時から気になってたんだよね。
感触が良かったから、4回も抓ってしまった。
そのとき、ガチャッと玄関のドアが開く音がして、「ただいま~」とあいつの母親の声が聞こえた。
静かに部屋を出て、階段を下りる。
勝手に家に上がり込んでるんだから、挨拶しないと。
リビングを覗くと、あいつの母親の姿があった。
「あ、の。お邪魔してます」
「あら! 聖夜くんじゃないっ。もしかして、お見舞いに来てくれたの?」
「はい。家に誰も居なかったので、勝手に誰かが帰ってくるまで一緒に居ました。遅くまで居てすみません」
頭を下げると、母親は慌てて近寄った。