翌日。

 私は、学校の最寄駅の前に立っていた。

 今日は学校が開校記念日で休校になっているのだが、私は昨日の夜、持明院先輩から珍しくメッセージを貰った。

 それは、学校近くの市立図書館で例のトンネルについて一緒に調べないかというものだ。

私はその誘いにOKした。

「しかし、暑いな~……」

 晴天の空には、7月だというのに真夏の太陽の光がサンサンと降り注いでいる。

 一人ごとを呟きながら、お気に入りの木綿の白いワンピースのスカートの裾を持ち、パタパタと扇いだ。

「おいっ、藤城」

 私は、はっとなって裾をパンパンと叩き行儀良く姿勢を正す。

 バス停の方から、自転車を引いた持明院先輩が時間ピッタリにやってきた。

 そして私はその時、衝撃を受けた。

 先輩の私服というものを、私はその日初めて見たのだ。

 持明院先輩は、紺のシャツにタイトめな白のパンツというラフな格好なのだが、スタイルが良いからか顔が良いからか、まるでファッション雑誌のモデルのようだった。

 さらに、今日はナゼか銀縁の眼鏡をかけており、中身と違ってカナリ知的に見える。

「いきなり呼び出してすまなかったな」

 いつになく大人しい雰囲気の先輩に、私は拍子抜けしてしまった。

 そして……先輩の足下に視線を移せば、やはりアノ少女がピタリと寄り添っている。

 そのせいか昨日からやはり、先輩はどことなく顔色が優れない様にも見えた。

「いっ、いえ、大丈夫ですよ!」

 私はなるべく先輩にこれ以上気にやんだりしてほしくないと思い、元気よく返事をした。

「それより先輩、今日は自転車なんですね? ケガはもう大丈夫なんですか?」

「ああ、もともと大した事は無かったから……」

 先輩は私を上から下までじっと見つめた。

「ふ~ん……」

「なっ、なんですか!?」

「いや、よく似合ってると思ってな」

 そしてボソリと呟く様に言うと、スタスタと歩き出してしまった。

「えっ!? あのっ、ちょっと待って下さい、先輩!?」

「ほらっ、早く行くぞ!」


 私は先輩の後ろを小走りについていった。