私が、心霊研究部に入って一週間が経った頃。

 6月のある日。

「よし、それじゃあ新入部員も入った事だし、そろそろ心霊研究部活動の一貫として、夜の校舎を探検でもするか!」


 持明院先輩が、いつになく張り切っている。

 私達は部室で今後の活動について話し合っていた……。

 まぁ、ほとんどが持明院先輩の独断と偏見で、活動は成り立っているらしいんだけど。

 ちなみに、部室とは初めて私が先輩方に脅かされた、部室棟の最奥の教室だ。

 備品は机と椅子が三つずつ、山寺先輩のお気に入りの寝床となっているボロボロのソファと、少し前の型のノートパソコン。

それと、持明院先輩のお気に入り心霊写真・心霊動画DVDがダンボールの中いっぱいに入っている。

 窓が割れているのは、持明院先輩が以前、降霊術に失敗して爆破したそうだが、降霊術で爆破って一体どんな状況なのか、あまり知りたくはないが、気にはなる。

 持明院先輩は、逆に雰囲気が出て良いだろ? と、割れた窓ガラスにご満悦みたいだが、あくまでここは心霊研究部であって廃屋の幽霊屋敷では無い。

「そういえば……」

 山寺先輩が何かを思い出した様に、ボソリと言った。

「気になる話を、新聞部で聞いたんだけど……」

「おっ! 珍しいね~彰がそういう話もって来るなんて~」

「そうだぞ! 彰、何故オレがオマエを新聞部などに籍を置かせたのかわかっているのか!?」

「いや……持明院……オレは元々新聞部だ……」

 持明院先輩は得意のドヤ顔で椅子の上に立ち上がり、決め台詞の様に叫んだ。

「それはもちろん、新聞部のオカルト情報を盗む為だ!!」

「……山寺先輩、話を続けて下さい」

 私もだんだんと持明院輩の扱いを理解してきた。

山寺先輩は無言で頷くと、小さく溜息して話し始める。

「高等部校舎の奥にある部室棟、あそこにあまり使われていない階段があるんだけど……」

「あっ、裏庭に面している……確か、昔は非常階段として使っていたとかいう所ですか?」

 鳳学園はカナリ敷地が広い、中等部・高等部・大学と、全てが同じ敷地内にあり校舎は全て別棟となっている。

 部室棟は、心霊研のある文化部は中等部校舎の隣に、運動部の部室棟は高等部の校舎裏に建てられていた。

「そう……あの建物は元は高等部の旧校舎だったそうだが……、その階段の一番上に大きな鏡があるんだ……」

「鏡?」