High school horror Show


そんな事もあり、しばらく和やかな雰囲気の中で、私達は例の女の事などすっかり忘れ、それから数時間ねねちゃんの部屋で作戦会議という名の、来る途中にあったコンビニで買い込んだお菓子品評会なんかを開催していた。

 それに飽きると、本棚から漫画を借りて読んだり、他愛もない話しをしたりして(持明院先輩の心霊コレクションだけは、私が頑なに封印させたが)夜迄の時間を過ごした。

 気が着けば、時刻は午後7時を過ぎている。

 夕食にはねねちゃんが得意のパスタを振る舞ってくれて、私達は舌鼓を打った。

 持明院先輩はそれを大変気に入って、本気でねねちゃんを心霊研に勧誘し始めるものだから、気が気でなかったが、私はこれが普通のお泊り会ならどんなに良かったかと心底悔やんだ。

「今度は普通にまた、みんなでこうして遊びたいね~」

 相変わらず富岡先輩はエスパーかと思うくらい、私の心を読み取ってくれる。

今の気持ちを丸々代弁されて、私は深く深く何度も頷いた。

「よしっ、それなら次回はこのパスタを食べながら、この近くにある心霊スポットへ調査に行くぞ!」

 いえ、絶対に行きたくないです……、パスタは食べたいですが。

 しかし、心霊に絡めて出してくるとはそのパスタ、余程お気に召したんですね。

「じゃあ、食べ終わった事ですし片付けちゃいましょうか?」

 私がそう言って食器を台所に持って行こうとすると、何故か持明院先輩に腕を思い切り捕まれた。

「なっ、なんです? どうかしました?」

「それ! 洗うのか?」

 持明院先輩は私の持つ食器をじっと見つめている。

「えっ? はい……洗いますけど」

「オレにやらせろ」

「はっ?」

「いいから、それを貸せ!」

 持明院先輩はそう言って私の手から食器を奪うと、鼻歌交じりでテーブルの上の私の食器を重ねはじめた。

 食器洗いがそんなにやりたい事なんだろうか?

 すると、富岡先輩が、

「輪ちゃんね~、おうちだといつもメイドさんがなんでもやっちゃうからさ家事全般に憧れが強いんだよ~」

 富岡先輩がそう言って、持明院先輩の頭をポンポンと撫でる。

 家事に憧れるって、先輩が女子なら素敵なお嫁さんになれてましたね。

「よしよし!輪ちゃん、それならオレの食器は輪ちゃんに洗って頂こうかな~」

「なに? 本当かマサキ!?」

 その言葉に、持明院先輩は目を輝かせて喜んでいる。

「オレのも……」

「よしよし、それならココにいる全員のをオレが洗ってやろうではないか」

 一瞬、私には持明院先輩に、喜びからちぎれんばかりに左右に振られる、子犬の尻尾が生えているのが見えた気さえした。

 持明院先輩がウキウキで皿洗いをしている間に、私達は順番でお風呂に入る事にした。

 入る順番をじゃんけんで決め、最初にねねちゃん、次は私、それから富岡先輩で次は山寺先輩、そして最後は皿洗いに夢中な為、じゃんけんには不参加の持明院先輩となった。

 ふと、お風呂の順番なんぞをのほほんと決めていながら私は重大な事に気づく。